主人公は50歳目前の男性。
離婚歴あり。
娘が一人。
父親は、画家で一人暮らしだったが、
全作で、結婚。
最近の犯罪が凶悪化していることに、胸を痛め、自分がこの仕事をしていけるか、常に問いかけている。
リードべりという、頼りにしていた同僚がいたが、病死してしまう。
でも、前作から新人として入ってきた女性刑事が、ヴァランダーを支えていけれるようになってきたので少し安心。
女性に対して、気持ちを正直に表してしまうところがある。
シリーズ2作目と3作目が、かなり壮大な物語だった。
それに比べれば、今作はもしかしたらこんなこともあるかな?という事件。
ひまわり畑で焼身自殺した少女の、自殺する場面を見てしまうヴァランダー。
そのあと、凄惨な殺人が4件も続く。
被害者は頭皮の一部を、髪の毛ごと剥ぎ取られていた。
用意周到に実行された殺人のため、証拠が見つからず、ヴァランダーたちは、疲弊していく。
その間に、犯人はなんと、ヴァランダーと娘のリンダを襲撃する計画を立てる…
読んでいる私達は、ヴァランダーに、
「早く気づいて!」と思うのだが、ヴァランダーは最後まで気が付かない。
しかし、本当は、とっくに気がついていたのじゃないか?
犯人が少年と言うことで、そんなことはないと、目くらましの道へ進んでしまったのではないか?
犯人は捕まるが、とても悲しい結末でした。
最後に、自殺した少女の父親が、言葉は話せない(外国人だった)ので、神父様に手紙を書いてもらい、財産のすべてをなげうって、娘の墓を探してくるところは、とても胸を打たれて泣けました。
貧困からくる少女の売買による悲劇。
最後にヴァランダーは、痴呆症が発病してしまった父親とイタリア旅行に旅立ちます。
父親の願いを聞いてあげられたことに、満足し、父親の子どものような微笑みを見逃さないヴァランダー。
同じような年代であり、親の痴呆などの問題を抱え、娘の心配をする普通の父親でありながら、国で起きる重大犯罪を解決していくヴァランダーは、とても魅力的です。
ミステリーということより、社会派の小説として読んでみられてはどうでしょうか。
私はまだまだシリーズを追いかけます。