罪の轍が面白かったので、こちらも読もうと中古で買いました。
同じ刑事が出ているようです。罪の轍を読んでから少し間が開いてしまったので
そこのところ、再確認するために
罪の轍を読み返さないと。
オリンピックの身代金の時代背景は
昭和39年のオリンピックの準備にわく東京。
主人公の島崎国男の兄が、出稼ぎ先で亡くなります 。実家からだれもでてこれないので
国男が代表して兄が働いていた飯場に出向き
過酷な労働の末に亡くなった兄に思いをはせ、自分もそこで働くことに。
オリンピックの準備で、工事が多く
人夫は体力ギリギリまで働かされます。
その辛い状況から逃れたくてヒロポンを打つ人夫も多く、次第に国男もヒロポンへの抵抗がなくなります。
そこで、じつは兄の死因がヒロポンだったことを知ってしまうのです。
富めるものは富むのに、貧しいものはいつまでも貧しいまま。
(本文より抜粋)
労働者の命とは、なんと軽いものなのか。人民は一個の駒として扱われ、国体を維持するための生贄に過ぎない。かつてはそれが戦争であり、今は経済発展だ。東京オリンピックは、その錦の御旗だ。
今の新型コロナウイルス対策をみていても、国が国民のことを本当に思っているのかわかりませんね。国の対面。経済発展が優先されているように思います。そうかと言って国男のように、国を相手に闘うだけの
想いはありませんが。
本文は二段組で非常に読みごたえがあります。私はドラマを見ていたので、国男は松山ケンイチ君しか思い浮かびませんでした。
戦争中は、兵隊の士気を高めるため
ヒロポンのような薬も使われていたとききます。終戦後それが市中に出回り、オリンピックの頃はまだまだ普通にこうして流通していたことは驚きです。
来年のオリンピックを考える意味でも、
オススメ出来る作品です。