「愛とは、誰かのおかげで自分を愛せるようになること」という題で、平野啓一郎さんが
話されている動画があります。
ちょっと長めですが、私は見て良かったと思いました。
先日、「ある男」を読み終えました。
平野さんの著書は初めてでしたが、
想像したよりは読みやすく、
けれど読んでいくと
言葉の言い回しで、意味をとらえることが
難しい箇所がいくつかありました。
ですから、私がその本に書かれていることを
理解したとは言えませんが
それでも、心に残った箇所がいくつかあります。
主人公は、中年の男性。職業は弁護士。
本人は在日であることに、少し囚われています。
昔の依頼者から、ある変わった依頼を受ける。それは、その女性の亡くなった夫が、実は偽名を名乗っていたようだということ。夫の本当の名前や、生い立ちを知りたいという女性からの依頼に、弁護士はいろいろな手を尽くして応えようとする。
その中で、ある死刑囚が出てきますが、
その死刑囚は、家庭環境に恵まれていませんでした。
そうした、本人にはどうすることもできない境遇、環境で育ったとしても
罰は平等に与えられる。
それは、不公平じゃないのか?
この箇所は、物語の中では
重要な箇所ではありませんが
私の心には、とても強く残りました。
結局、戸籍の売買によって
違う名前を獲得し、
また、その獲得した名前の人間の過去も
受け取って、違う人間になる。
依頼者の亡くなった夫は、そうして
違う名前で生きていたのでした。
しかし、なくなったとき
その男性はとても幸せな家庭を持っていました。
恵まれない環境、境遇、
自分ではどうすることもできない生い立ち。
そこから、幸せを獲得するのは容易なことではありません。
年齢に関係なく、辛い状況にある人に
ぜひ、見てもらいたい動画です。
この動画を見て、またもう一度
ある男を読み返してみたいと思いました。